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「書く」ということ

さくら国際学習教室(SILC)には日本語学習を目的とした生徒が多くいます。

そのため、カリキュラムやレッスンプランにははなぞり書き→書写→口述書き(聞いた日本語を書く)という3段階を取り入れています。これにより、教室のほとんどの子供たちは半年から1年毎に1ステップ進んでいきますが、最終段階の口述書きは聞く力と字を認識する力と書く力が備わる高いステップです。

 先日この3ステップを10か月で達成した生徒がいました。

5歳の男の子S君、日本語学習を始めて10か月でその前は一切日本語環境を体験していなかった生徒です。どうしてS君が10か月でひらがなの口述書きがでるようになったのか、改めて振り返ってみました。実は私自身もこの成果は予想していなかったのです。

そして思い当たることはただ一つ、S君はかなりの運筆量をこなしていました。授業や宿題の運筆に加え、名前の練習や保護者家庭でのプリントを使って時間があれば書いていました。

 教室来た当初のS君は椅子に座って書くという経験を全くしたことのなかったので鉛筆を持つ力も弱く、ましてやひらがなってなあに?という状況でした。決して「書く」ことが好きではありませんでした。

しかし、数か月後名前を書けるようになった時、あるきっかけが生まれました。それを見た家族や先生に褒めてもらうという経験をしたのです。自分が書いたものを人に見せると喜んでもらえたということが何よりも嬉しかったS君はそれ以来、教室での自習時間、家庭での宿題時間には書く時間に費やしました。書いた字を人に見せる誇らしげな笑顔はまた更に多くの人が褒めたくなりました。S君がこの10か月に書いたプリントをファイルはまるで厚い辞書のようです。

また、書く字を言いながら書く習慣も身に着けました。最初はひらがなを読めることを目的に始めたのですが、ある日絵本をすらすらと音読しているS君がいました。

 やはり「書く」ということはなによりもの効果的な学習法なのです。

語学学習に限らず、書いているうちにアイデアが浮かんだり、書くことで自分を振り返るセラピーもあります。教室の生徒たちは授業中にたくさん書きます。

 授業を行う中で、「書く」=人に褒められるという環境を大切にしようと またひとつ生徒に教わった新学期でした。


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